その夜、昨晩に引き続きファジー!!はデルタにも聞こえるようにスピーカーを通して高木博士に電話しています。高木博士はPLANTRONICS のBluetooth ワイヤレスヘッドセットをつけて頷きながら答えています。
Fuzzy!!:
先生、このような次第です。
Dr.Takagi:
うーん、おかしな話だね。では私が以前勤めていた学校で法学部の教授をしていた友人がそちらの国で法律事務所を開いているので話しておこう。多分、君は予約して待たされることなく会えると思うから、私からの折り返しの連絡を待っていなさい。
そうだ!話していたら久しぶりに彼に会ってみたくなったからイプシロンを連れて私もそちらへ向かうことにするよ。
Delta:
ワーイ、イプシロンも来るんだ、楽しみだな。
急遽イプシロンと会えることになってデルタは大喜び。ファジー!!も心強い援軍が来るので心持が軽くなりました。
その後すぐ高木博士は急いで手配してくれたようで知人の法律事務所に話は通してあるので早急に行くようにと連絡がありました。
翌日、スチュアート法律事務所を訪れたファジー!!とデルタ。スチュアート氏は礼儀を弁えた挨拶の後てきぱきと話を進めていきます。
Stewart:
はじめまして、Dr,Takagiから概要は聞いています。疑問点が多々あるので細部の話と書類を見せて下さい。
Delta:
(えっ、艦長?)新スタートレック Star Trek, The Next Generation
Fuzzy!!:
マッキンタイア氏の話はこういうことで・・・、家で見つけた書類がこちらです。
Stewart:
拝見します。・・・・・・
では、これから経緯と現状を調べて裏付けを取ります。結果が出るまでお待ち下さい。外国から来ておられるし、Dr,Takagiからの依頼でもあるので可及的速やかに進めます。
Fuzzy!!:
よろしくお願いします。
その晩、クリスがファジー!!のホテルにやってきました。ホテルの喫茶室でクリスとファジー!!、デルタがテーブルについています。
デルタは夕食後なのにパンケーキをパクついています。
Chris:
事務所に帰って先生に話したのですが、ダンプカーについて行ったのを咎められました。何の説明もなく、この件は忘れて以後ファジー!!さんに関わらないようにと言われました。事務所に所属する弁護士ならそうするべきなのかもしれませんが、ボクは弁護士ではないし先生の言っていることが変だと思います。ここに来たことは秘密ですが他所の法律事務所に相談されることをお勧めします。
ここでクリスは一息ついてコーヒーを一口飲むと続けました。
じつはあの辺りはボクの出身地であり、先祖伝来の土地、習慣を頑なに守っている部族があるのです。昔は鉱石の採掘も彼らの聖域を侵さない節度のあるものだったそうです。それがいつごろからか、なし崩しになったそうで部族の人達もかなり神経質になっているようです。でもファジー!!さんは窺い知らなかったことなので信頼できる代理人を立てることを強くお勧めします。
Fuzzy!!:
クリスさん、ありがとう。その件は検討してみます。どうかあなたの立場を危うくしないで下さい。
ファジー!!は部族の代表者の名とか、住まいをクリスに尋ねてその晩は別れました。
翌日、ファジー!!とデルタはクリスに訊いた人物に会いに出かけました。総て代理人に任せておけば法律上はそれでいいのですが、ファジー!!のお爺さんの残した写真に写っている、多分今は存在していない現地の人達とお爺さんの姿がファジー!!に、何かしなければ、と思わせたのでした。
Delta:
ファジー!!この辺り何も無いみたいだね。
Fuzzy!!:
うん、地図アプリに拠るとこの狭い道を抜けるとクリス君の言っていた村があるそうだよ。レンタカーを下に置いてきたので時間はかかるけどこの道は普通のクルマだと躊躇するね。
ファジー!!たちを岩場の上から監視している人影が、
marto:
我々の土地へのこのこやって来るとは何と言う図々しさ、目にもの見せてくれる!おい、今日こそあれを出して行動に出るぞ。
Olock:
長老はまだそこまで行動に移す気はないようだ。先走って我々だけで今までやったことのない行動は拙いと思うぞ。
marto:
なにを怖気づいている!我々が行動して既成事実を作ってこそ他の仲間も、そして長老もその結論に従うしかなくなるだろう。さあ、やるんだ俺とお前で。
マルトは彼自身のルビコン河を渡る決心をしたようで最後の「俺とお前で」というところに力を込めて語るのでした。