長老は中空を見つめながらファジー!!の問いに答え始めました。何処かを懐かしがるように、また愛おしむように、


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godoh:
あれは第二次大戦の初期から中期の間頃だった。ドイツの輸送船が現れて戦車、弾薬、燃料その他の資材を幾ばくか陸揚げして、我々の地域の岩山の洞窟を拡張した基地に格納していった。当初は整備担当のドイツ兵がいて我々若者たちは日ごとに彼らと馴染んでいった。暫くして対戦も後半になった頃、ある日彼らは本国に帰ることになり来た時より小さな船で資材を引き上げることもなく去って行った。ドイツ兵から整備を教わった若者が定期的に手入れしていたが我々の間でそのことに関してあまり公然と語ることはなくなった。今思えば次の攻撃地への橋頭堡とするつもりだったのか、兵器を各地域に分散して万一に備えるつもりだったのか・・・、まあ今回の出来事でもはや隠しておくことはできないが。
Stewart:
あなた方の若者が今回したことはわが国の法に触れますが、あなた方が整備しなければ朽ち果てていたであろうことも事実。所有権に関しては改めて調べてみますがあの戦車の価値は相当だと思います。
godoh:
ほう、では小出しにしたほうが良いかな?後2両あるのでな、フフフ・・・。
Stewart:
それは凄い、事実は想像を超えると常々思い知らされていますが、いや驚きです。
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godoh:
ファジー!!博士は滞在中、時間を作っては我々子供たちに色々なことを話してくれた。身近な水も場所により、季節により生で飲んではいけないと教えてくれた。顕微鏡を使って微生物を見せてくれたがそれは驚きだった。その折、対物レンズを下げ過ぎてプレパラートのカバーガラスを2度ほど割ってしまったが博士は怒らず、慣れるまでは始めに下げておいて、後は覗きながら上げていく方法を教えてくれた。子供ながらに博士の傍に居て感じる博士の醸しだす雰囲気は憧れだった。ファジー!!さんはお爺さんである博士に会ったことが無いそうだから伝えておくが貴方の御祖父は素晴らしい人間性の持ち主だった。私はあの時からこの歳まであの人以上に影響を受けた人物に会った事が無い。
Fuzzy!!:
私の知らない祖父の話をありがとうございます。
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Dr.Takagi:
ファジー!!くん、君のお爺さんはああいう形で謎を残していったのは謎を解いてこのことを調べてみようというくらいの子孫になら自分が持っている特殊な事情の遺産を託してもいいと考えたのだろう。そんな子孫なら自分の考えも分かるだろうと思ったのだろう。スチュアートくんから聞いたと思うが、お爺さんは自分個人の為にはここの口座のお金は一切使っていないという話だからね。
Fuzzy!!:
ええ、マッキンタイアのことは被害届を出し、スチュアート事務所に任せることにしました。祖父が受けた土地の範囲だけで採掘し、利益はこの国に還元することにします。地元の大学の奨学金基金を設定したのでクリスくんに是非活用して貰いたいものです。
Stewart:
ファジー!!一世は自分の子孫が然るべき謎解き・手続きをしないようなら土地の権利を村に返すよう条項を作ったのですがマッキンタイアはそれを書き換えて悪用していたのです。ああ、それからクリスくんにはうちの事務所でアルバイトをしないか誘ってあります。彼の勉強にも役立つ筈だしデータくんは彼の優秀な先生になるでしょう。

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Fuzzy!!:
では長老、長寿と繁栄を。
godoh:
うむ、あなた方にも多大な幸運と繁栄があらんことを、それと我が同胞のクリスへの気遣い
痛み入る。恐らく将来、彼は我々と周りの社会との接点になって活躍するだろう。幼い頃から秀才だった子だ。


一人の人間の身勝手な善行?による悪事(ややこしい)による正当な受益を侵害する行為がデルタの偶々の行動に端を発した一連の”偶然”によって暴かれ、法的に解決し、機会を得る人間が増え良かった。今まで正当でない”善意”で利益を受けていた勢力以外には。

当シリーズをご覧頂きありがとうございます。次回からは新たなシリーズ「熱砂の追跡」を始めますので引き続きよろしくお願いします。